2024年6月28日(金)
一般質問Vol.5
1.歴史的資源である文化財を活用したまちづくりについて
2.吉原第一中学校の給食室改修に伴う給食停止について
1.歴史的資源である文化財を活用したまちづくりについて
文化財とは、地域にとって誇りと愛着をもたらす象徴であり、文化財を保存し、十分に活用することにより、地域の魅力を高めることも可能である。
富士市内にある90件の指定及び登録文化財の活用を拡充するためには、地域一体で計画的に保存・活用に取り組むこと が極めて重要である。
文化財を活用したまちづくりについて、 以下質問する。
(1) 富士市内の文化財が市民に十分に知られているとお考えか。
(2) 移築事業が予算計上された国登録有形文化財「旧順天堂田中歯科医院診療所兼主屋」について、どのように活用する予定か。
(3) 文化財の活用について、審議会等、地域と一体で横断的に話し合えるような環境で活用を検討しているか。
(4) 富士市の魅力向上のために、文化財活用をどのようにお考えか。
動画21.21〜38.22
教育委員長 ※議事録が出たらアップデートします。
市川議員 教育長からご答弁頂きましたので、順を追って、お話しさせていただきます。
まず、歴史的資源である文化財を活用したまちづくりについてですが、今回質問させていただいたきっかけは、質問(2)であげた、地元吉原からの田中歯科の移築です。
そこで、吉原から既に2つの文化財が広見公園に移築されており、これが三つ目だということ。そして、90件もの文化財が富士市にあることを知り、驚きました!
富士市には何もない、という言葉をよく耳にしますが、あるじゃないか!と私は思いました。
そこで、「とっておいた文化財を、とっておきの文化財に。」というキャッチコピーがあります。
富士市はいつまで、地域の魅力を深める、観光や地域経済の発展に寄与する、貴重な文化財を、ただ、とっておくのでしょうか?
それではこれから、「富士市の文化財はとっておきの文化財になっていくのか」という視点でお話しさせていただきたいと思います。
質問(1)の富士市内の文化財が市民に十分に知られているとお考えかについてですが、答弁で市政モニターアンケートの結果から、市民に十分に知られているという認識のように感じましたが、市政モニターアンケートは何人が対象でしょうか?お伺いします。
教育次長 100人中99名が回答
市川議員 富士市の人口は24万7000人ほどですが、その中の100人、約2500分の1の意見ですよね。
市政モニターになる人は行政に対して特に関心の強い方々かと思いますので、文化財に関心がある方は多いでしょう。その数をベースに、知られていると回答するのは、いかがかと思います。
例えば、重要文化財「古谿荘」につきましても、令和3年度から修理工事を行っていますが、昨年10月に修理中の現場見学会を開催し、105 人が参加されましたよね。
しかしながら、はっきり言って、そもそも古谿荘は知られていません。
私はその現場見学会にタクシーで行きましたが、地域の名所をよく知るはずの運転手の方も知りませんでした。
そもそも知られていないマニアックな場所の修理中の一般公開に来るのは、一部のマニアか行政や議員、関係者ではないかなと思います。
つまり、そもそも知られていないという前提に立って、文化財を周知する必要があります。
まずは知ってもらった上でようやく、関わったり学んで、そうした結果、文化財に愛着を持ち、それが地域への愛着につながっていくのではないでしょうか。
そこで、まずは古谿荘を知ってもらうために、例えば、古谿荘は修理中で中を見ることができませんが、外から見える塀の部分に古谿荘の写真や歴史の掲示をすることなどはすぐに出来ることではないかと思いますが、できるかできないか、お答えください。
教育次長 所有者にお願いしていく。
市川議員 古谿荘には所有者がいますが、補助金等を活用して修理工事を行なっています。せっかく原資は税金である補助金を使っているので、しっかりと市民に還元されるよう、強く働きかけてください。
文化財を広く周知するためには、様々な方法を組み合わせて情報を伝え、人々の関心を惹きつけることが重要だと思います。
そこで、例えば富士市の文化財に関する情報を網羅したガ、見やすいガイドブックや公式ウェブサイトを作成し、歴史背景や見どころ、アクセス情報などが見れるようにしているでしょうか?お答えください。
教育次長 二十年ほど前?
市川議員 答弁で、本年度は、富士川楽座でのイベントやSNSを活用するとありましたが、
現在ではGoogledMAPなど既存の便利なツールもあります。そこに位置情報や詳細を提供することにより、来る人にとっては訪問計画などを立てやすくなると思います。
また、各種SNSやYoutubeで紹介動画やバーチャルツアー、インタビューなどの配信も可能だと思いますので、知られていない前提に立って努力して頂くよう、要望させて頂きます。
次に、質問(2)の 「田中歯科」についてですが、この建物の本来の名称はニコライ堂というので、以降ニコライ堂と呼ばせていただきます。移築予定のニコライ堂の活用について
ですが、大正14年頃に吉原地区に移築ということで、100年近くも吉原地区にあります。
広見公園ふるさと村歴史ゾーンへ移築されるとのことですが、広見公園に文化財が集中しているということは、管理目的がメインのように感じており、このままではニコライ堂もただの集合体の一部ということになってしまうことを懸念しております。
今回は保存環境が重視され、文化財の現地保存と活用という考え方が軽視された気がしますが、現地保存の検討は十分にされたのか、不安に感じます。
文化財というのは、所有者にとっては維持・管理に多額の費用がかかり、相続の際は税負担も発生。行政にとっては一定の補助は出せても、所有する文化財が増えると維持・管理を賄いきれないという課題があり、そのために平成31年の文化財保護法の改正が行われたと認識しています。
その法改正により、保存だけでなく、活用という新たな視点が盛り込まれましたが、活用しながら保存、というのは言い換えれば、活用しないと守れないということです。
文化財を守るだけではなく今まで以上に活用し、そこで得た利益を管理・維持に回すことで、持続可能な保存を目指すということではないでしょうか。
富士本町にある、国登録有形文化財の「旧加藤酒店店舗兼主屋」はBAR X KAPPOUとして生まれ変わりましたが、商店街に一つ歴史ある建物があるというのは、昔を懐かしむ人もいれば、それだけで訪れる理由となり、ついでに周辺を散策したり、お店に入ったりする。ここは市内外の人に自慢できる、とっておきの文化財となっていると思います。
このように、文化財単体の点で捉えるのではなく、街道や商店などの面で捉え、文化財を連携させて活用することにより、街にとっての経済波及効果も見込めるのではないでしょうか。
文化財を連携活用してまちのストーリーを浮き彫りにすることで、地域の魅力を最大限に引き出すきっかけとなると思います。
本来、ニコライ堂が商店街の一歩裏にあることが面白いんです。最近話題になっていた富士山とローソンや富士山と階段、富士山と商店街など掛け合わせて新しい視点でみることが面白いんです。
広見公園はどうでしょうか?
7件もの指定文化財があるふるさと村歴史ゾーンですが、活用の具体例はコンサートしかありませんでした。答弁の結びにありましたが、これすでに旧稲垣家住宅で行なっていることですよね?
実施設計はこれからなので仕方ないかもしれませんが、その活用で、本当に十分でしょうか?
前項でも伝えたように、まずは知ってもらうことも十分です。
知ってもらうためのウィットに富んだ仕掛け、例えばナイトツアーで昼間とは異なる視点から文化財を楽しんでもらったり、と、そういった変わったことをすることで、ウェブや地元記事も取り上げやすくなりますので、是非とも今までやっていないことを色々と模索していってください。
質問(3)文化財の活用について、地域と一体で横断的に話し合えるような環境で活用を検討しているかについて、答弁にありました「保存活用地域計画推進協議会」は定期的に開催しているかと思いますが、地域の将来を担う若者は参画していますか?
教育長が答弁の結びに、従来の発想にとらわれない、本市の魅力発信に務めるとっしゃっていましたが、そのためには、文化財の専門家や、偉い人たちだけで話し合っていてはダメだと思います。
あえて、文化財と関わりの薄そうな若者や、外からの目線が重要だと考えます。
また、文化財の保全と活用には、民間ノウハウ等を活用した資金調達力の強化も必要だと思います。
そこで、行政の役割とは何でしょう。
行政の立ち位置と役割は非常に重要です。
行政はコーディネーターとして、様々な人に協力体制を築く役割であると同時に、支援者、規制者、プロモーター、調整者、評価者でもあります。
文化財を‘誰‘が管理するか。というのは重要ですが、文化財というのは個人所有の場合でも、莫大な修繕と維持費に悩まされるかと思います。
富士市では、民間所有の指定文化財 40件に対して、所有者の維持管理と積極的な保存活用を促進するために文化財報償金を支出していると思いますが、こう言った機会に、しっかりと所有者と話し、寄り添うことにより、所有者にとって色々と相談できる関係となり、いざという時に頼ってくれる関係になる、という補償金・補助金はアウトリーチの機会だと思います。
また、調整役として重要なのは、市民が主体的に参加できることだと思います。
行政が全てを決めるのではなく、市民が自分ごととして考えるきっかけとなることで、様々なアイディアなども出てきた結果、とっておきの文化財になって行くのではないでしょうか。
公的な信頼性を担保に、民間活力を活用した整備を行うというのが、文化財を最大限活用できる方法の一つだと思います。
しっかりと文化財の働きが及ぶ「場」を明確に共有した上でリーダーシップを発揮する必要があると考えます。
こちらの項目では最後の質問であります、(4)富士市の魅力向上のために、文化財活用をどのようにお考えかについてですが、教育長からは必須だと答弁いただきました。
富士市には本当に意識の高い観光ボランティアガイドが多くいますが、現在メインで活用しているのは岩本山公園の花咲案内人です。
せっかく富士市が広見公園にこれだけ多くの文化財を移築しているならば、しっかりと文化財の歴史や意義を解説する存在が必要だと感じます。
地元の飲食店や宿泊施設と連携し、観光客の滞在を促進してみたり、学校や市民と連携することも重要でしょう。
歴史的資源である文化財を活用したまちづくりは、地域の独自性を保ちながら、観光や経済を活性化させる重要な取り組みです。
行政がリーダーシップを発揮し、市民や関係者と共に取り組むことで、文化財を次世代に継承し、地域の魅力を高めることができると思います。
そして今、当たり前に感じているものが未来の文化財になるかもしれない。
行政が発揮すべきリーダーシップというのは、誘導尋問のようなアンケートのもと、市民の意見を聞いたと言ったり、意見できない状態で説明し、了解を得た、と上に上げるようなものではありません。
リーダーシップです。
ボスになるな、リーダーになれ。
これは、イギリスの高級百貨店チェーン「セルフリッジズ」創業者の言葉です。
ボスは私という、リーダーは私たちという
ボスは失敗の責任を負わせる、リーダーは黙って処理する
ボスはやり方を胸に秘める、リーダはやり方を教える
ボスは仕事を苦役(くえき)にかえる、リーダーは仕事をゲームに変える
ボスはやれと命令する、リーダーはやろうという
ボスは自分の考えと異なるものを排除する、リーダーはより良いアイディアをメンバーから吸い上げる)
良きリーダー、コーディネーターであってください。
文化財は過去の遺産であるだけでなく、現在と未来をつなぐ重要な架け橋です。地域の文化財を守り、活用することは地域社会、全体の豊さと誇りを育むことにつながると考えます。
一緒に、地域にとって、とっておきの文化財を活用した未来に繋げていきましょう!
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